友情を超えたい愛のゆくえ |
メタ会話。反転なしで愛情エンド迎えられないことに悩むレハトの印愛はカンスト状態。 [キャラなし][友情A][夢][愛情A][愛情⇒ヴ憎悪B ・待つ編] [友情A後日談] ある愛の狩人との会話 「どうしてこの愛がタナッセに伝わらないんだろう」 「愛が大きすぎると、時として人は尻込みをしてしまうものですわ。とくに度量が狭ければ狭いほど、遠くへ尻尾をまいて逃げますわね」 「そうだよね、ディットンは遠すぎるよね」 ある王様との会話 「レハトはもっと……」 「もっとなに、ヴァイル」 「大人しくしたほうがいいと思う」 「え、だってタナッセが逃げちゃう」 「いや、追ってくるから逃げちゃうんだと思うよ。あの性格だから。時には待つこともいいんじゃない」 「どれくらい待ってこなかったら、追ってもいいの?」 「うーん、一年くらい様子見たらどうかな。それまで文通くらいにとどめておいてさ」 「そうか、それまでじっくり力を溜めておこう」 「溜めなくていいってば、レハト!」 「いっそ文鳥の格好をして手紙を届けるというのはどうだろう。一年もタナッセに会えないなんて耐えられない」 「……もう俺は止めないからレハトの好きにしなよ」 ある元王息殿下との会話 「タナッセ愛情失敗エンドでしたー!」 「そんなエンディングはない。ただのキャラなしエンドだ」 「だってタナッセが告白断るのが悪い」 「お、お前はまだそんなことを言っているのか。だから、寵愛者のお前と私とではつりあいが」 「やだ、結婚して! もうお母さんの承諾は得ているのだ」 「なっ、当事者の私を差し置いてなにを勝手に話を進めているのだ。断る!」 「ひどい。舞踏会でいい雰囲気で踊ったのに。私をさんざん弄んで捨てるの!?」 「誤解されるような言い回しはやめてくれ。ただ……そう、単に一曲踊っただけだろうが! 嘘をつくな」 「私の夢だって見たんでしょう!」 「あっ、あれはだな、だ、から……夢は夢であって、現実ではない! 断じてない!」 「それに……私はこんなにタナッセを愛してるのに」 「……ぐっ!」 「タナッセがいないと夜も眠れない。テグ豆一つ喉を通らない。寂しくて死んじゃう」 「物騒な脅しは聞かないからな」 「毎日泣いて暮らしちゃう」 「笑って暮らせ。城の人間が私の出奔にせいせいしたと喧しく噂するように」 「ディットンに押しかける」 「はじめは玉座を狙っていたというのに、なぜ神官になどなろうとする。まさか……」 「タナッセの側にいるため」 「人を基準に大事な進路を決めるな!」 「というわけで色々無理だったのでタナッセ友情エンドAです。長い目で見ることにしました」 「なぜかお前の目が熱を持っているように見えるのだが……いや、気のせいだろう」 「それは愛があるからです」 「友情の間違いではないのか」 「愛もあるのです」 「そんなものはいらん!」 「ひ、ひどい。口にするのもはばかられるような私の夢を見ておきながら……! 私を弄んで捨てるつもりっ」 「だから、そのいたずらに誤解を招くような言い回しはいい加減やめろと言っているだろう。修辞学を学べ、修辞学を。修辞学は言葉を美しく効果的に表現するだけでなく、相手に伝える技術でもあるのだぞ」 「タナッセへ効果的に伝わりました」 「方向性がおかしい!」 「部屋に呼んでくれたじゃない。ふたりっきりで過ごしたあの夜を忘れたなんて!」 「ただの食事だ。おまけに侍従や衛士らがいただろうが。その人へ誤解させたくて仕方がないといった言い方はやめろ」 「まだ慣れていない私に色々教えてくれたのに……」 「礼儀作法をだ! わざとらしく目的語を抜かすんじゃない」 「いつになったらこの愛にほだされてくれるのかな」 「ほだ……っ、そんな日は来ない! それにしても……なぜこのエンドAなのだ?」 「どうせ普通に好愛上げても愛情エンドは無理だし、タナッセとヴァイルと一緒にいるエンディングが良かったから」 「なぜそこでヴァイルが出る」 「だって親友だから」 「……その、向こうもそのつもりなのか?」 「私の愛情だけじゃなくて、ヴァイルと私の友情も疑うつもりっ? 共に盃を交わしあい堅い友情の絆を結んだこの私たちを。別にずっと一緒にいるとか約束したわけじゃないけど、ヴァイルは王様になって、私はお城に勤めてるしね」 「ああ、わかったわかった。そう騒ぐな」 「なによりこのエンドは、タナッセが私のために一緒に城に残ってくれるから」 「な、何を言い出す。城にいるのは私自身のためでであってだな、お前のためではないと」 「止めたら残ってくれたのは事実です」 「もういい……疲れた。帰る」 「…………」←モル(ついてく) 「わーい」←レハト(ついてく) 「お前はついてくるなっ」 「ちょっと待て、なぜ肝心の愛情エンドに触れない」 「だって愛が報われない鬱憤を晴らすコーナーだから」 「ところでなぜ私が見た……その、夢の内容をお前が知っているんだ?」 「だって私が見させた夢だもん」 「ふざけるのもいい加減に……」 「だって、市にいたよーく当たる占い師に頼んだんだもん」 「……まて、どこの誰とも知らないような胡乱な者にそのようなことを頼んだのか」 「叶えてくれるっていったから」 「お前は! 寵愛者だという自覚はあるのかっ。いいか、良く聞け。王にならなかったとはいえ寵愛者を利用しようという輩が城中に大勢いるのだぞ。油断すれば、いずれ取り返しのつかない事態に…………聞いているのか?」 「感動してます……」 「何?」 「こんなにタナッセが心配してくれるだなんて……愛?」 「ば、馬鹿なことを言うなっ。私は友人として忠告しているだけで……!」 「それで具体的にはどんな夢を見たの?」 「なんだ、詳しくは知らなかったのか……」 「愛が伝わる夢としか聞いてない」 「……ぐっ!」 「私の愛、伝わった?」 「……………………っ! そ、それ以上近寄るんじゃない」 「えいっ」 「モルっ!」 「……」←モル(ひきはがした) 「うう……いけず」 「……私は帰るぞ。いいか、一晩寝て頭を冷やすがいい」 「……」←モル(ついてく) 「……」←レハト(ついてく) 「黙っていればいいという問題じゃない」 「ほんとは親友以上を望んでるくせに〜、心の友とか言ってごまかして」 「言ってなどいないし、ごまかしてもいない」 「諦めてしぶしぶ愛情エンドAを迎えてみたよ!」 「嫌ならいい」 「え?」 「私のしでかしたことでお前が責任を感じる必要はない。己の為した罪に相応しい罰を受けるべきだ」 「うん。だから一番の罰だと思う。あんなに憎んでいた私と結婚するんだから」 「私はお前のことはもう憎んでなど……!」 「じゃあタナッセの気持ちを聞かせてほしい」 「……その手にはのらないからな! しおらしくしていればこちらが騙されると思ったら大間違いだぞ」 「タナッセ……」 「な、何だ」 「本当に私のことどう思ってるの?」 「どう、とは?」 「……罪悪感から結婚するんじゃないよね?」 「まったく、何を言い出すのかと思えば」 「だって、会えば罵倒しあう仲だったでしょう、私たち」 「それはお互い様だ」 「私はタナッセを愛してる」 「なっ!」 「どうして、なんて理由はわからないけど。好きだという気持ちは確かだよ。でも、タナッセはどうなのか時々不安になるの」 「……私たちは婚約しているだろう」 「婚約どころか結婚していても心が通じてない人なんて貴族なら大勢いるよね」 「政略結婚ならばな」 「タナッセ……。私のことが嫌いなら、婚約解消してかまわない。ディットンでもどこへでも行ったらいい。でももし、私のことをわずかでも好きな気持ちがあるのなら、教えてほしいの」 「……すまない、私はお前にはっきりと伝えたことがなかったな。いつか、言葉にしようと思ってはいたものの、お前を目の前にすると陳腐な言葉しか思い浮かばないのだ。ミーデロンを馬鹿にはできないな」 「…………」 「私は、お前を心から愛している」 「……やったー! うれしいー! あ・い・し・て・る、だってー!! うわー照れる! モル聞いた今の? 言ったよ愛してるって、心からだって! さっそくみんなに言いふらそうっと。まずはヴァイルとユリリエからにしよう。おっと、忘れずお母さんにも喜びの報告をしなければね、息子さんに初めて愛してるって言われましたって! きゃっ、恥ずかしい!」 「ならば言いふらすな!」 *タナッセ愛情エンド→ヴァイルじわじわ憎悪Bエンド 「どうしようタナッセ、王様になったヴァイルに塔に閉じこめられちゃった」 「お前と奴はそれほどまで憎み合っていたのか……」 「だってライバルだもん。男の真剣勝負に情けは無用だよ」 「未分化だったろう」 「もう分化したもん」 「お前は女性になったのだろうが」 「そりゃタナッセと愛あふれる新婚生活の予定だったから男を選ぶ訳ないよ」 「うっ……。私の力が及ばず、すまない思いをさせている」 「じゃあ早く迎えに来てよ。商人にできて王子様にできないわけがないよ」 「母上が退位した今、もう王子ではない」 「じゃあ無理なの? もう……二度と顔も合わせられないの」 「機会を窺っているが、警備が厳重でその隙がなくてな。……だが、必ずお前を連れ戻してみせる」 「タナッセかっこいいー! 素敵ー!」 「こ、こら。茶化すな。人が真面目に話しているというのに」 「『必ずお前を連れ戻してみせる』」 「もう忘れてくれ」 「『必ずお前を連れ戻してみせる』」(きりっ) 「やめないか」 「『必ずお前を連れ戻してみせる』」(きりりっ) 「やめろと言っているだろう」 「ふー、気が済んだから塔に戻ることにするよ」 「……なぜ戻る」 「作戦を考えたよ!」 「一体どんな内容だ」 「モルの兄弟みんなで肩車をして、はしごになってもらうの。それを伝ってタナッセが迎えに来る」 「モルに兄弟だと? 聞いたことがないぞ」 「モルは無口だもんね。でもあの背の高さがあれば大丈夫」 「そもそも人が肩車をして届く高さではないぞ、あの塔は」 「じゃあモル子にも手伝ってもらおう」 「モ……何だそれは」 「モルの女の子バージョン」 「バージョンも何も、モルは男だぞ」 「だから、もしモルが女の子だったら身長三メートル五十センチもあるんだよ」 「そんな大きな女性の話は、いまだかつて聞いたことがないぞ」 「何でモルのことだけそう頑ななの! もういい。塔に戻る!」 「…………だから、なぜ戻るのだ」 *タナッセ愛情エンド→ヴァイルじわじわ憎悪Bエンド:待つ編 「私のために争わないで!」 「何だそれは」 「だから、ヴァイルが、憎んでる私から国王の座を決闘で奪い取って塔に監禁して、私の恋人のタナッセと対立してる状況だから」 「誰が恋人だ」 「婚約者」 「それは」 「夫!」 「ぐっ……」 「約束してくれたよね? 私と結婚してくれるって」 「……すまない」 「あ、いや、タナッセは無理しないでよ。私は元気だし、遅くてもヴァイルの退位の後は出られると思うから」 「あと二十年程か。なんとも気が長い話だな」 「待っててくれる……?」 「ああ、もちろんそのつもりだ」 *友情A:後日談 「せっかく城に引き止めたのにランテの執政になっちゃうなんて!」 「最初から一年で身の振り方を定めると言っていたはずだが」 「だってまだタナッセと運命の人とか一心同体の関係になってない! 何だったら鏡を見るような愛でも、愛する人は心も近くでも、心穏やかな愛でもいいけども!」 「……お前のお陰でランテへ赴く決意をしたのだと、今礼を言おうとしていたのだがやめることにしよう」 「長期戦でなし崩し的に王配の座につかせようとたくらんでいたのに……」 「ひょっとして、お前はそんな阿呆なことを考えて私を城に引き止めたというのか?」 「決まってるじゃないか! それ以外に何の理由があるっていうの?」 「帰る」 「えー、先日友情にかつてないひびを入れてしまった六代目国王レハトです。タナッセの怒りようときたら、もう二度と顔を合わせてくれない程のものだと推察します。実際面会を申し込みましたところ、ことごとく拒絶されました。壁です、グラドネーラを二分する壁が、この王城にもありました。えー、愛情を得るために友情を捨てることはやぶさかではありませんが、いまだ得られてもいない愛情のために友情を捨てたら何も残りません! 荒野です、焼け野原です、うちの村長の頭頂部です! えー、タナッセ・ランテ=ヨアマキス殿、先日は大変な失言を致しました。全て私の不徳の致すところであります。二度とこのようなことがないことを誓います。約束致しますのでちょっとお手を拝借してもよろしいでしょうか」 「謝罪などいらんから私の部屋の前から出て行け」 |
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