ヴァイル愛情エンドが見られなかったレハトとその心の友タナッセ
*がっつりメタな会話。タナッセ友情Aエンド、王様はヴァイル。微妙にヴァイル攻略情報盛り込み。


「どうしたのだ。地べたなどに手をついて。何かあったのなら……話ぐらい聞くが」
「ヴァイル愛情エンドにたどりつきたいです先生」
「……お前、何かしたのか? 普通にやっていて失敗するなど考えられん」
「昔大失敗した人に言われたくない」
「う、うるさいっ! ともかく、なんだ、経緯を話せ……内容によってはまだどうにかできる可能性だってあるだろう」
「まず寝ました」
「王になりたいと望んだのではなかったのか」
「寝ず勉は古いのです。今はたっぷり寝て勉強が流行です」
「それはいいから先へ進め」
「門に向かいました。なんかいけすかない人が立っていました」
「私か! ……いいか、話を聞いて欲しかったら要点をまとめろ。その調子では話し終えるのにひと月はかかりそうだ」
「告白したら振られました」
「いつの話だ?」
「黄の月」
「篭り二ヶ月前ではないか。何をやっていた。ヴァイルにつきまとっていたのではないのか」
「めんどくさい人の面倒をみてあげていました」
「そこでなぜ私を睨む。……まあ、確かに世話になったと言えなくもない部分もあるが」
「日付指定ばっかだから、逃したら一ヶ月待ちだし、その後のイベントがつかえてしまうんだよ。めんどくさい人なんだからほんと。ときどき構うだけであっさり成功する憎悪ルート、じゃなくて愛情ルート見習いなよ!」
「そこまでわかっていながらなぜ奴の愛情エンドが迎えられない」
「計算ずくの恋ってどうかと思うよ」
「怪しげな商人と老侍従を手玉に取ったことのあるお前が言うな!」
「それと、ディレマトイだってタナッセに白状させるためにがんばってました」
「どうでもいいことに時間を浪費しているからこういうことになるのだ」
「つまり責任を取ってよタナッセ! 私をこんなにしたのは君のせいなんだ」
「誰が取るか! 阿呆もいい加減にしろ!」
ガサガサッ。
「……あ、ヴァイ、ル……。こ、こんにちは」
「うん、二人の邪魔するつもりはなかったんだけど、大声出してどうしたのかなって……。タナッセ、レハトのこと大事にしてよ。俺の大切な親友なんだから。泣かせたらただじゃすまさないからね」
「ちょっと待て、なにか誤解していないか」
「レハトが女になったのって、タナッセのためだったんでしょ。いいよ言わなくたって、わかってる」
(おい、呆けとらんで何とか言え! そもそもお前が最後の日に告白しないから誤解を受けるのではないのか。私のところへなど来てどうするのだ)
(だって一度待ちぼうけしてるのにまた振られるかと思うと勇気がわかなかったんだよ)
(もし告白していたら承諾していたのではないのか?)
(だめだよ、また告白なんかしたって振られるだけだよ。いいんだ、ずっと一緒に城にいるって約束できただけで十分幸せって思わなきゃ)
(たった一度、しかも告白にすら至っていなかったのだろうが。……その、なんだ、抱きしめて離さないほどの熱意ならあいつも、きっと)
(抱きしめる……。そんなの恥ずかしくてできやしないよ! 何気なさをよそおって古地図と仕込み短剣をプレゼントするくらいが私のせいいっぱいです)
「俺、もう行くね。ほら、そろそろ謁見の時間だから。じゃあね」
ガサガサ……。
「完璧に誤解された……。タナッセの馬鹿馬鹿、親友だってとどめ刺された!」
「こら、私に泣きつくな!」
「心の友なら胸くらい貸してくれたっていいじゃないか、うわあん!」
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